写真:西村尚己アフロスポーツ
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 フィギュア世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)で会心の演技といえば、アイスダンスの「かなだい」こと、村元哉中・高橋大輔組。大会から1週間が経過するが、ファンの感動は薄れることはなく、さらなる飛躍を期待する声が高まっている。本人たちの言葉や海外メディアの反応から振り返りたい。

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 競技最終日3月25日午後、アイスダンス、フリー。6分間練習にリンクに入る。「かなだい」を紹介するアナウンスで

「チームを組んで3シーズン目。『かなだい』の高橋選手は通算10回目の世界選手権です」

 こう流れると観客は拍手。練習時間あと1分で、会場の声援はさらに強くなり、リンクを周回する高橋大輔の動きにあわせて、拍手が移動するように鳴り響いていた。

 フリーの演目はオペラ座の怪人。2人が作り出した世界観に、興奮と感動の渦が巻き起こった。

 演技後、客席は総立ちで、鳴りやまぬ拍手と歓声が地鳴りのように会場に響いた。本人も満足の演技だった。ミスもなかった。乱れもなかった。演技後、最後のポーズから立ち上がれず、涙を流して顔を覆う高橋の元に、村元が屈んで近づき、お互いをたたえ合う。

 最終順位は目標としていた10位には1つ及ばなかったが、採点基準では評価できない何かが見る者の心を動かしたようだった。

■ダイスケにはオーラがある

 開催期間中に来日したアメリカのプレスは、「かなだい」についてこう評価していた。

「ダイスケの挑戦はこれまでにないすごく歴史的だね。とてもハードだと思う。アメリカでも人気。Fresh Existence(新しい存在!)としてアメリカでも見られているよ。この2年でのびてきたよね」

 別のプレスは言う。

「ダイスケはパイオニア的存在。ダイスケにはオーラがある。エンターテイナーだし、彼の持つ影響力は凄いよね。人はみんなダイスケが大好きだよね。37歳という年齢は心配するけど、でもすごい。彼にはスケート愛を感じるよ」

 長くフィギュアスケートを取材するライターも言う。

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やっぱり人間性