起床時に疲労感があったり、ぼうっとしていたりする場合も、「隠れ鼻づまり」の可能性がある(撮影/写真部・小山幸佑)
起床時に疲労感があったり、ぼうっとしていたりする場合も、「隠れ鼻づまり」の可能性がある(撮影/写真部・小山幸佑)
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【子どもの鼻づまり】手術前の症状と術後改善した割合(AERA 2019年3月4日号より)
【子どもの鼻づまり】手術前の症状と術後改善した割合(AERA 2019年3月4日号より)

 眠りの質を左右する大きな要因の一つが、実は“鼻”にあるという。鼻のクリニック東京理事長で耳鼻科医の黄川田(きかわだ)徹医師は、鼻づまりは睡眠の質、ひいてはQOLも左右すると指摘。さらに、子どもに与える影響は大人へのそれより大きいと言う。

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 大人も子どもも鼻づまりがあれば睡眠の質が下がる。だが、「大人より成長過程にある子どものほうが、その影響は深刻」と黄川田医師は警鐘を鳴らす。

「特に小学校低学年までの場合、鼻づまりが健全な睡眠をさまたげ、脳や身体の発育に多大な影響を与えるおそれがあります。最も重要なのは、子どもの脳は睡眠によって発育しているということです。一生を左右することもあるかもしれません」(同)

 子どもが受ける影響は多岐にわたる。睡眠不足になると成長ホルモンが十分に分泌されないため、身長がなかなか伸びないなど、体の発育が遅れる。集中できない。運動能力が低い。情緒が乏しい、またはキレやすい。小学校にあがったのに、おねしょが治らない。顎や胸郭の発育が遅れることもあるという。

 都内に暮らす女児(9)の母親が、愛娘の睡眠時の様子が少しおかしいことに気がついたのは、生後間もない頃だ。

「口を開けて眠っていて、少しいびきもかいていました。『赤ちゃんなのにおじさんみたいだな』と、最初は少し微笑ましく思っていたんです」(母親)

 だがすぐに慢性的な鼻づまりに気づいた。眠りも浅かった。3、4歳になるまで耳鼻科や小児科に通ったが、一向に治らなかった。夫と相談して鼻のクリニック東京を訪れ、重度の鼻炎とアデノイド肥大があると知り、娘が5歳の時手術を決断した。

 それまで、娘はとてもおとなしい性格だと思っていた。ところが、手術で鼻づまりを解消すると、俄然活発になった。ジャングルジムに登り、走り回る。

「この子はこんなに動けたんだと驚きました」(同)

 おしゃべりも上手になり、勉強にも意欲を見せるようになった。知育パズルもすらすらと解き、私立小学校に合格した。もうすぐ4年生になるいまも、性格は「快活そのもの」。好きな科目は体育だという。

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