2011年のメジャーデビューから瞬く間にスターダムに駆け上がったトラウトは、2014年のスプリングトレーニングでダルビッシュ有(当時レンジャーズ)と対戦。前年に奪三振王に輝くなどメジャーリーグでも屈指の存在となっていたダルビッシュと対決することを以下のように語っていた。
「ここ数年彼と対戦しているけど、彼との間にはライバル関係のようなものがあるんだ。これって本当にクールだよね。彼がベストのボールを投げて、自分がそのベストのボールを打てるように試みる。我々はそれを楽しんでいるし、本来それが(野球の)あるべき姿だよね」
このように誰よりも勝負を楽しむトラウトだが、所属するエンゼルスは残念ながら2014年を最後にプレーオフ進出から遠ざかっている。
大谷は過去に「ヒリヒリするような9月を過ごしたい」と語るなど、勝つことに飢えているが、それはトラウトも全く同じ。大谷も世界一を目指す侍ジャパンでの戦いを誰よりも楽しんでいたように見えたが、トラウトも大会中に「野球のグラウンドで最も楽しい経験ができている。自分の国を代表して戦えるのは何よりも楽しい。(米国代表として)プレーするのは楽しいとは思っていたけど、こんなに楽しいとは想像していなかった」と、大舞台で戦うことの喜びを誰よりもかみしめていた。
そして、トラウトはWBCでプレーしたことで大舞台で戦う“快感”を得たようで、米『Yahoo! Sports』によると「このような雰囲気でプレーすることが必要だったんだ。(WBCでのプレーは)どれだけ我々がプレーオフでの戦いを切望しているか思い出させてくれた」と、大会後にエンゼルスのフィル・ネヴィン監督にメッセージを送ったという。
メジャーリーグは30球団とチームの数も多く、プレーオフに出場してワールドシリーズまでたどり着くのすら簡単なことではない。これまでトラウトのようにメジャーのスーパースターという地位にいながら世界一から無縁のまま現役を退いた選手は少なくない。あのイチローやケン・グリフィーJr.、フランク・トーマスも世界一はおろかワールドシリーズに出場することすらなかった。