「いつも結果にこだわらないと言ってきましたが、優勝できたことはうれしいです。世界選手権に向けてたくさん練習し、なおかつ勝てるようにしたい」
シニアに上がって初の優勝宣言だった。その心境をこう語る。
「僕は順位を言うことは珍しいのですが、自分のなかから『優勝したい』という思いが強く出て、言葉が出ました。結果にこだわった試合をしてもいいかなと。これまでも1位を求められている自覚はあったけど、自分の満足いく演技という気持ちのほうが強かった。世界選手権は、僕を支えてくれるみんなのために感謝の気持ちを込めて練習して、1位になりたいです」
世界選手権まであと1カ月余り。憧れであり、いつか超えたい存在の羽生結弦(24)も参戦する予定だ。グランプリファイナルで2年連続の優勝を奪われた米国のネイサン・チェン(19)もいる。対決が楽しみか、と聞かれるとこう答えた。
「今季は楽しいという気持ちを持たないようにしています。楽しいと思えば緊張しないけれど、それは挑戦する立場だから。僕だって、いつまでも追いかける立場ではなく追われる立場だということを考えて、その中で集中することをやりたい」
最後に力強く言い切った。
「すべてのジャンプを成功させるのが優勝への条件。今回のフリーで『自分はできる』と思い込んだあの気持ちを再び思い出せば成功する」
(ライター・野口美恵)
※AERA 2019年2月25日号より抜粋