AERA 2019年2月18日号より(撮影/片山菜緒子)
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AERA 2019年2月18日号より(撮影/写真部・大野洋介)
AERA 2019年2月18日号より(撮影/写真部・大野洋介)

 大企業や老舗企業にとどまらず、ベンチャー企業や公的機関でも「朝礼」が見直され始めている。働き方改革で各社員の労働スタイルが柔軟になった半面、低下してしまった団結力が大きく関係する。

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 午後1時、朝礼ならぬ「昼礼」が始まる。町田市役所(東京都)の経営改革室の室長室に全職員11人が集まる。それぞれが業務の現状や課題を数分で話し、室長、課長が助言や指示を15分ほどでしていく。

 市は、12年の庁舎移転を機に住民へのサービスの質を一層高めるために、勤務開始時間を10分早めることで、各部署で行う「朝礼」を本格化させた。

「働き方改革」を推進し、17年7月に正規職員を対象に時差勤務制度を導入。午前7時30分から9時30分までの間の五つのパターンから1カ月単位で本人が選ぶ。就労のあり方を柔軟にする施策だ。経営改革室では時差勤務の職員がいるため、原則として全員がそろう毎日午後1時に「昼礼」を行う。

 入職13年目の栗山敏雄さんは5歳と2歳の子どもを保育園に連れていった後、出勤する。「仕事の密度の濃い部署なので、昼礼で職員間の情報共有をして、遅れが生じないようにしたい」。入職10年目の近藤しのぶさんは「グループウェアでの情報共有ではなく、顔を合わせて話をすることで、切迫感や優先順位をリアルに感じ取れる」と話す。2人は同じ課題を抱える職員がいると昼礼でわかれば、役立つ情報を素早く伝えるようにしている。

「住民から求められるサービス水準が高くなっている。それに迅速に的確に、わかりやすく応えるためにも、朝礼や昼礼で職員間の情報共有態勢を徹底させたい」(職員課)

 最新の技術を駆使するITベンチャーにも、この流れは及ぶ。創業から4年でマザーズ市場に上場したand factory(アンドファクトリー=東京都目黒区)のアプリ事業部。取締役の青木倫治さん(35)がプロデューサー、ディレクター、エンジニア、デザイナー、マーケッターなど社員約50人の前で挨拶し、1日の仕事の目標を伝える。その後、5~10人の各グループでプロジェクトの進捗や課題を話し合い、共有する。

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