将来的にはがん検診に生かせるかもしれないが、現時点ではあくまでがんを持つ人が治療方針を立てたり、適切な治療を選択したりするための予備手段だという。
きちんと理解しておきたいのは、リキッドバイオプシーは、患者を適切な治療薬に結びつける可能性はあるが、「夢の検査法」ではないということ。現時点でリキッドバイオプシーを行っても、遺伝子変異が検出され自分に合致する薬が見つかる確率は、わずか「5~10%程度」とされる。高額な自費診療で調べてもこれといった発見がない可能性もあるという。
それでも、多くの医師は、「リキッドバイオプシーにより、今後数年でがんの標準治療が変わるだろう」と口をそろえる。
「肺がん、乳がん、泌尿器がん、大腸がん、婦人科のがん等で研究が進んでいます。胃がんでもHER2の遺伝子増幅をリキッドバイオプシーで検出し、もうすぐ学会で発表する予定です」(近畿大学医学部教授の西尾和人医師(ゲノム生物学))
がん医療はまさに日進月歩だ。(編集部・熊澤志保)
※AERA 2019年2月11日号