発刊して丸3年、18年6月に出た12号のテーマは「これ、忘れてない?」。戦争を扱った本の特集だった。三辺さんは言う。
「最初、戦争をテーマにすることに迷いもありました。子どもの頃に戦争文学を『読まされた』と感じた経験が多かったからかもしれません。けれど今の時代に対して抱く危惧は、金原さんと共有していましたし『今だからこそ、真正面から戦争をテーマにした特集を組もう』と言われ、気持ちが固まりました」
紹介されたのは『収容所のプルースト』『卵をめぐる祖父の戦争』など、戦争をテーマにしながらもユーモアを感じさせ、小説として抜群に面白い本ばかり。戦時下のドイツを舞台にした音楽青春小説『スウィングしなけりゃ意味がない』の著者、佐藤亜紀さんが巻頭エッセーを担当した。
12月に出たばかりの13号は「絵+字で、無敵!」と題した、グラフィックノベル特集だ。
「3年間で12冊出すという最初の目標は達成したので、今後は年に2回、息長く海外小説の面白さを伝えていきたいと思っています」(三辺さん)
(ライター・矢内裕子)
※AERA 2019年1月7日号-2019年1月7日合併号