■【唾液過多症】胃もたれしやすい「痰湿の停滞」タイプ

「津液」は体内の正常な液体ですが、これが過剰になると身体に悪影響を与える「痰湿(たんしつ:余分な水分や汚れ)」となって蓄積されます。唾液過多は、この痰湿が溜まり、粘りのある唾液や痰などが増えてしまう症状です。

 このタイプの養生は、まず溜まった痰湿をすっきり取り除くことが基本。また「脾胃(胃腸)」の働きも弱いため、水分の取りすぎ、冷たい飲食などを控え、脾胃に負担をかけないことも心がけましょう。 

<気になる症状>
粘りのある唾液が多い、痰が多い、口内のネバつき、吐き気、胸のつかえ、胃もたれ、お腹の張り、むくみ、軟便、舌苔が厚くベタつく
※つわり、炎症(扁桃腺炎、口内炎)などがある人も参考に。

<食の養生>
余分な水分を取り除き、脾胃を整える食材を。
きゅうり、とんぶり、春雨、とうもろこしの髭茶、はと麦、緑茶、サンザシ、しょうが、ごぼう、しそ、フェンネル、シナモンなど

余分な水分を取り除き、脾胃を整える食材:しょうが、シナモン
余分な水分を取り除き、脾胃を整える食材:しょうが、シナモン

■【唾液過多症】疲れやすい「脾胃の虚弱」タイプ

「脾胃」は体内の水分代謝を担う臓器。そのため、脾胃の虚弱でその機能が低下すると、体内に「痰湿(余分な水分や汚れ)」が溜まりがちに。その結果、唾液の分泌も過剰になってしまうのです。

 このタイプはサラサラの唾液が増えることが特徴で、胃腸虚弱の人、体力が落ちている人などに多く見られます。養生の基本は、まず弱った脾胃を元気にすること。温かい飲食を心がける、暴飲暴食を控えるなど、食生活を整えて脾胃の働きを強くしましょう。

<気になる症状>
サラサラの唾液が多い、疲労倦怠感、食欲不振、お腹の張り、顔色につやがない、冷え、軟便、舌の色が淡く舌苔が白い
※病後、高齢の人、子どもの唾液過多なども参考に。

<食の養生>
脾胃を元気にする甘味・温性の食材を。
大豆製品(豆腐、湯葉、豆乳、納豆など)、米、豚肉、鶏肉、太刀魚、鯛、山芋、かぼちゃ、 キャベツ、いんげん豆、りんごなど

脾胃を元気にする食材:大豆製品、いんげん豆
脾胃を元気にする食材:大豆製品、いんげん豆

■暮らしの養生 

・刺激物、飲み過ぎ食べ過ぎ、冷たい飲食などを控え、脾胃に負担の少ない食生活を。
・身体の冷えは臓器の機能低下を招きます。入浴、服装などの習慣で“冷えない”心がけを。
・疲労やストレスも唾液トラブルの要因に。しっかり睡眠を取ることも大切です。
・適度な運動で全身に「陽気(身体を温めるエネルギー)」を巡らせて。陽気は臓器が活動するエネルギーとなります。
・身体に老廃物を溜めないよう、排尿・排便をスムーズに。

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

本記事は、イスクラ産業株式会社が発行する情報誌『チャイナビュー』より、一部改変して転載しました。同誌は日本中医薬研究会の会員店で配布しています

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