「米国は豊富な天然資源をそのままにはしない。持続可能な環境の追求と引き換えに、いかなる国も経済的繁栄やエネルギー安全保障を犠牲にすべきではないと強く信じている」

 これを受けて英BBCなどの欧米主要メディアは、「米国の信頼をさらに傷つける催しとなったが、COP24の交渉内容には全く影響しない」などとする国際機関幹部や会議出席者らの批判コメントを次々と紹介した。パリ協定に合意した各国代表の立場を代弁しているようにも聞こえるが、現実は少し違っていた。トランプ政権の負の影響力が、パリ協定でも各国の結束を脅かし始めていた。

 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は10月、気温上昇を1.5度未満に抑えるためには、30年までに世界の年間の二酸化炭素(CO2)排出量を、10年比で約45%削減する必要があるとする特別報告書を発表。そうでないと、猛暑や豪雨、海面上昇などの深刻な異常現象が悪化すると警告した。

 COP24では、この特別報告書の内容を「歓迎する」という文言を使って、採用することに米国が反対。これにロシア、クウェート、サウジアラビアも加わった。新たな「ギャング・オブ・フォー(4人組)」の結束した抗議により、文言は最終的に削除された。

 トランプ政権の負の影響は、それ以外の国でも見え隠れしている。トルコのエルドアン大統領は17年7月、米国の離脱を受けて同国もパリ協定を批准しない可能性に言及。19年1月にブラジルで政権が発足するボルソナーロ次期大統領も、トランプ大統領を見習ってパリ協定から離脱する可能性がある。また、米国の判断を理由に協定離脱の議論がたびたび行われる豪州は、COP24で米国が主催したイベントに環境大使を参加させ、「クリーンな化石燃料」を強調する米国に寄り添う発言をした。

 シンクタンクのアイルランド国際問題研究所(IIEA)は12月、「パリ合意vs.トランプ・エフェクト(トランプの影響)」と題する報告書を出し、トランプ政権がパリ協定に「ブレーキ」をかけた三つの悪因を挙げた。

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三つの悪因とは?