拓殖大・不破聖衣来
拓殖大・不破聖衣来
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 駒澤大の史上5校目の三冠達成で幕を閉じた2022年度の大学駅伝界。その傍ら、「女子」では“王者”名城大が、「5年連続の二冠」を達成した。果たして、年度が変わった今シーズンも、その“絶対的な強さ”は続くのだろうか。

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 圧倒的な「二冠」だった。昨年10月の『全日本大学女子駅伝』は、1区から米澤奈々香(1年)、石松愛朱加(1年)、山本有真(4年)、谷本七星(2年)、小林成美(4年)、増渕祐香(3年)のメンバーで挑み、全6区間中5区間で区間賞をマークして史上初の大会6連覇。同12月の『富士山女子駅伝』では、1区の柳樂あずみ(1年)から、石松愛朱加(1年)、米澤奈々香(1年)、 増渕祐香(3年)、山本有真(4年)、小林成美(4年)、谷本七星(2年)で7区間中5区間が区間賞。両レースとも、1区でトップに立つと一度も首位の座を譲らずにゴールテープを切った(学年は当時)。

 その出走メンバーから小林成美と山本有真の2人の頼れる4年生エースが抜けたが、米田勝朗監督が「普段から学生たちが自分たちで考えて取り組むという習慣を作っている」と言うように、チームの伝統となった「自主性」はしっかりと受け継がれており、女王としての自覚と自信は変わらない。戦力的にも仙台育英高校時代から逸材と言われてきた米澤奈々香を筆頭に、計7人いる新2年生の代が非常に充実しており、今春入学の新1年生にも、昨年の全国高校駅伝でアンカーを務めて逆転優勝の立役者となった村岡美玖(長野東高)や、主要大会で安定した走りを続けて都道府県駅伝の優勝メンバーにもなった薮谷奈瑠(大阪薫英女学院高)など計8人が入部した。

 迎えた今季、日本グランプリシリーズの初戦となる4月8日の『金栗記念選抜陸上中長距離大会』では、女子3000mに新1年生5人を含む計8人が出走し、社会人選手も混じった中、トップ10に4人がランクイン。4位でフィニッシュしたルーキー・薮谷奈瑠を筆頭に、今後への期待を高める結果となった。米田監督が赴任した翌年の1995年に1年生2人で創部した名城大学女子駅伝部。これまで少数精鋭がチームの特徴の一つだったが、この数年間で人数も増えて「質」だけでなく「量」も確保し、さらなる進化を遂げようとしている。

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不破聖衣来を擁する拓殖大学は?