その“絶対女王”にストップをかけられるか。注目と期待を集めるランナーが、拓殖大の不破聖衣来だ。2021年に『全日本』で6人抜き、『富士山』で10人抜き、12月の関西実業団ディスタンストライアルin京都では10000mで日本歴代2位(当時)の30分45秒21を叩き出すなど、“異次元の走り”を披露した陸上界のニューヒロインだ。だが、昨年は相次ぐ故障と疲労蓄積に苦しんで7月の世界選手権オレゴン大会は挑戦を断念。その後、『全日本』では「調子は3~4割」という中で2年連続の5区区間賞の走りを見せたが、前年ほどの衝撃的なタイムでなく、チームは5位。『富士山』は不出場だった。

 今年は8月のブダペスト世界選手権10000mへの出場を目指してトレーニングを積み重ね、調子を取り戻しつつある。その間、チームとしては戦力の底上げに成功。『富士山』7区で区間2位の走りを見せた新井沙希に加え、新1年生にも都道府県駅伝で7区区間賞をマークした岩崎麻知子(学法石川高)など楽しみな面々を迎え入れている。“不破以外”が力を伸ばす中で、不破の調子が「10割」になった際には、名城大のトップ独走状態を防げるチームになれるはずだ。

 もう1校、名城大の牙城を崩せる可能性があるチームとして、大東文化大の名が挙がる。過去に駅伝の優勝経験はないが、一昨年まで『全日本』で5年連続、『富士山』でも4年連続で2位に入っていた実績を持つ力のあるチーム。昨年は両レースを4位と6位で終えたが、今春の新入生が非常に強力だ。5000m15分50秒98の自己ベストを持ち、今年2月には世界クロスカントリー選手権U20女子(6キロ)に出場した野田真理耶(北九州市立高)、ケニア出身で将来のマラソン挑戦も明かしているサラ・ワンジル(帝京長岡高)の2人を筆頭に、森彩純(豊川高)、蔦野萌々香(諫早高)など、名城大の新入生と同等、もしくは上回る“逸材たち”が入部。彼女たちの成長が鍵を握る。

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