浩宮(現・天皇)さまが英オックスフォード大留学中に過ごした寮の室内で
浩宮(現・天皇)さまが英オックスフォード大留学中に過ごした寮の室内で

「たとえば、オランダ最古の国立総合大学、ライデン大学の日本学科。日本に西洋医学を教えたシーボルトが、帰国後にこの街で日本の研究を続けたことから、日本学の研究が深まりました。国文科の優れた教授がたくさん在籍する大学です。ヨーロッパには、他にも優れた日本学の学部があります」

 また、米国は世界的な日本文学の研究者が輩出している。故ドナルド・キーン氏が長く教授を務めたコロンビア大学やロバート・キャンベル氏の出身大学であるハーバード大学。さらにミシガン大学やカリフォルニア大学のバークレー校も日本学の研究では有名だ。

 前出の天皇陛下の同級生の今井さんも、こう話す。

皇族方の留学というと英国が王道でした。一方で、皇后雅子さまもハーバード大学経済学部をご卒業されています。欧州とはまた空気が異なる米国への留学もよいご経験となるのではないでしょうか」

 大規模な米国の大学で落ち着いて学ぶことができるかどうかは、個人差もあるだろう。英国のオックスフォード大学やケンブリッジ大学は、30~40のカレッジに分かれており、小規模で落ち着いたキャンパス。オックスフォード大学といえば、皇后雅子さまも外務省時代に留学を経験している。愛子さまにとって同大は、ご両親ともにゆかりのある大学だ。

■日本文化を学んだ「先輩」も

 日本の古典文学といった専門を持つ愛子さまの場合、三笠宮家の長女・彬子(あきこ)さまのケースも参考になりそうだ。

 日本美術の研究者である彬子さまは、京都産業大学や京都市立芸術大学、立命館大学や國學院大学などで特別教授や客員教授などを務めている。

 学習院大学を卒業後、オックスフォード大学で日本美術を研究。女性皇族では初の博士号を取得した。米国カリフォルニア州郊外にある「クラーク日本美術・文化研究センター」に住み込みで、日本美術の調査に没頭していたこともある。

「いま、海外の大学や研究機関では、日本文学や古典といった分野の研究は縮小傾向にあります。代わって、日本の近現代の社会や政治、漫画やアニメを含む文化に注目が集まっています。海外で活発になっている、そうした新しい日本学の研究も面白いと思います」(河野教授)

 1年前の成年の会見で将来の進路について質問された愛子さまは、「今後の進路はまだ考えがまとまっていない」と話しながらも、学びへの意欲をこう見せた。

「知識を広げながら自分の興味を深めていくなかで決めることができればと思う」

 さまざまな道が広がりそうだ。

(AERA dot.編集部・永井貴子)

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