サッカー熱がとにかく高かったから、練習も真面目に取り組んでいた。努力が大嫌いな今のボクからは考えられないけど、ほぼ毎日のように、近所の公園に行って、シュート練習をしていた。「とにかくゴールをたくさん決めたい」、そのことしか頭になかった気がする。もっとレベルの高いところでプレーしたいと思って、クラブチームにも入った。ただ、クラブチームでは、全然駄目(笑)。わりと技術には自信があったんだけど、まったく通用しなかった。学校のチームでは、個人技でがんがんゴールを決めることができていたのに、びっくりしたね。しまいには、「ゴールを決めたい」と焦るあまりに、全然周囲にパスを出さなくなってしまって、試合にもまったく出してもらえなくなった。あの時は、ほんとうに悔しかった。今、考えると、人生で初めての挫折だったかもしれない。
その後も練習に明け暮れる毎日だったけど、小学校卒業と同時に、ボクは家庭の事情もあって、引っ越しをすることになった。知り合いが誰もいない中学校に転入することになったんだけど、もちろん、サッカー部には絶対入ろうと思っていた。ただ、残念なことに、その中学校にはサッカー部がなかったんだよね(笑)。結局、それがきっかけになって、徐々にサッカー熱は落ち着いてしまった。もし、あの時、サッカー部があったら、そのままプロを目指して頑張っていたかもしれない。
■人を助ける仕事をしたい
「ふざけた話をするな」と思われるかもしれないけど、高校生のころのボクが憧れた職業といえば「勇者」だった。ネタとかじゃなく、これは本気で(笑)。「ドラゴンクエスト」に影響され過ぎていたんだけど、「勇者」という職業が、現実にあると本気で思っていたんだよね。三者面談でも「進学か、就職か」みたいな真面目な話をしている時に「勇者になってブラジルで砂金をとります」と言って、「そんな職業はありません」と先生に本気で怒られたこともある。結局、ボクがあまりにおかしなことばかり言うから、先生も母親もあきれてしまって、三者面談なのに、途中でボクだけ退席させられたからね。今、改めて、振り返ると、やばいやつだ(笑)。
「勇者」という職業は現実にはないわけだから、当時のボクは「この先、どうしよう」と本気で悩んだ。でも、少し考え方を変えることにしたの。「勇者」という職業がないのなら、「勇者」のように「人を助ける仕事をしよう」、そう思ったんだよね。