※外務省HPの「日米地位協定Q&A」では「一般国際法上」、駐留外国軍に国内法は適用されないと説明している。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/qa03.html
「できることはすべて行う。沖縄の基地負担軽減に全力を尽くして参ります」
約20万人の沖縄戦犠牲者を悼む慰霊の日の6月23日、追悼式で安倍晋三首相は語った。沖縄県に在日米軍基地が集中するきっかけとなった日米の地上戦から73年。「できること」はまだまだなされていない。
米軍基地と隣り合わせゆえの騒音・環境被害や事件・事故。その対処で日本の国内法適用を制限する日米地位協定の改定を県は求め続けているが、一度も改定されたことはない。
●「どこにあるのか」論争
そうした態度の表れとして批判を浴びながら、政府がいっこうに変えない国会答弁がある。
「一般国際法上、駐留を認められた外国軍隊には特別の取り決めがない限り接受国の法令は適用されない。日本に駐留する米軍についても同様です」
さらに外務省HPの「日米地位協定Q&A」には、米軍関係者の公務中の行為について「日本の法律は原則として適用されない。これは国際法の原則による」ともある。
だから地位協定の改定は難しく、米軍に国内法の尊重義務をふまえた運用を求めるというのが政府の姿勢。だが国会では最近、「そんな国際法がどこにある」と論争になっている。
普天間飛行場そばの小学校へのヘリの窓落下や、事故を起こしたのと同型機の飛行の早々の再開など、国内法に縛られない米軍機のトラブルがやまない中、この政府答弁への追及が続く。
衆院外務委員会では元外交官の末松義規氏(立憲)が「ずっと考えてきた。奴隷意識のようなものを非常に感じる」と指摘。元沖縄防衛局長の井上一徳氏(希望)も2016年に沖縄県で女性が米軍属に殺された事件で煩悶した経験から疑問を呈し、「HPの修正を」と求めた。
だが政府側は「これまでご説明している通り」と繰り返す。「一般国際法」の根拠を末松氏が問うと、「慣習法なのでどこかに書いてあるということではない」(外務省の三上正裕国際法局長)。5月29日に閣議決定された井上氏への政府答弁書もこの点への回答を避けた。
一体どうなっているのか。
実はもともとの政府答弁は違う。1960年6月、新日米安全保障条約の承認に反対するデモが国会を取り巻く中、セットで参院で日米地位協定が審議されていた。極東の平和と安全のため日本は安保条約で米軍の駐留を認め、その法的地位を地位協定で定めるという関係だ。