地震本部も「南海トラフの大地震の前後に西南日本内陸の地震活動が活発化したことが知られており、近年の地震活動の評価から、現在は南海トラフの大地震前の活動期に入っている可能性が指摘されている」としている。
慶長年間の南海トラフ地震(1605年)の9年前にあたる1596年には、今回の大阪北部地震とも関連が疑われている活断層「有馬-高槻断層帯」がM7クラスの地震を起こした。激しい揺れで伏見城は倒壊。東寺、天龍寺、大覚寺などの建物が倒れた記録が残る。
直下型地震はなぜ増えるのか。海洋研究開発機構の堀高峰・地震津波予測研究グループリーダーは「南海トラフ地震が起きると、内陸の地震はしばらく静穏期が続く。それが終わったということです」と説明する。前回の南海トラフ地震の発生で地殻にかかる力が変化し、近畿以西では断層に加わる力が減り、地震発生が遠のいた活断層が多かった。その静かだった時期が、終わったらしいのだ。
直下型地震は、活断層が地表に残っていない地域でも発生しうる。南海トラフ地震と比べても、直前予知が一層困難だ。
今回の地震までの17年間に大阪府高槻市で震度4以上が記録されたことはなかった。周辺は、津波が来ない内陸部。東日本大震災の印象から、南海トラフ地震さえも深刻にはとらえられていなかったかもしれない。阪神・淡路大震災の「油断」を繰り返さないように、警戒を強める必要があるだろう。(ライター・添田孝史)
※AERA 2018年7月2日号