大阪府高槻市の小学校では女児がブロック塀の下敷きになり、死亡した。防災の不備が可視化したとも言える=19日朝(撮影/編集部・澤田晃宏)
大阪府高槻市の小学校では女児がブロック塀の下敷きになり、死亡した。防災の不備が可視化したとも言える=19日朝(撮影/編集部・澤田晃宏)
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近畿周辺の主な活断層(AERA 2018年7月2日号より)
近畿周辺の主な活断層(AERA 2018年7月2日号より)
南海トラフ地震の前は直下型地震が増える(AERA 2018年7月2日号より)
南海トラフ地震の前は直下型地震が増える(AERA 2018年7月2日号より)

 首都直下地震や南海トラフ地震の恐怖は広く語られているが、南海トラフ地震の前には、中部圏を含む西日本で直下型地震が急増することが過去のデータからわかっている。

【図】近畿周辺の主な活断層はこちら

 規模がさほど大きくないマグニチュード(M)6クラスの地震でも、人口密集地帯の地下の浅いところで起きると被害は大きい。今後M7クラスが頻発する恐れさえある。今回起きた大阪北部地震は、その怖さの片鱗を見せた。

 近畿・中部地方には数多くの活断層がある。政府の地震調査研究推進本部(地震本部)がリスク評価をしている主要活断層帯114のうち、近畿に16、中部に33が集中している。

 山陽新幹線・新神戸駅のホームの下には、諏訪山断層が通っている。阪神・淡路大震災の時に地下深くが少しだけずれ動いたが、地表面に達するような大きな動きは16世紀以降起きていない。京都大学吉田キャンパスや修学院離宮をかすめている花折断層帯が地震を起こせば、想定される死者は約1万1千人。大阪城の足元にある上町断層帯は同4万2千人。東大寺や春日大社の下を通る奈良盆地東縁断層帯は同3700人だ。

 それぞれの活断層について地震本部は、活動する確率は低いと評価しているが、もし動けば被害は甚大だ。

 最近、西日本で警戒されていたのは南海トラフ地震が中心だった。地震本部の予測では、30年以内の発生確率は70%程度。だいたい100年から200年の間隔で発生してきた。

 南海トラフ地震の前後には内陸の直下型地震が増える。歴史文書などから過去1千年の地震を分析すると、南海トラフ地震の50年前から地震の10年後までの間は、それ以外の期間に比べて約4倍、被害を起こす地震が起きやすくなっている。

 たとえば前回の南海地震(1946年)が起きる前の40年間(1906~46年)には、北但馬地震(M6.8、死者428人)、北丹後地震(M7.3、同2925人)、鳥取地震(M7.2、同1083人)など、M6以上の地震が10回起きている。

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