報道陣に公開されたビデオ・アシスタント・レフェリーの拠点 (c)朝日新聞社
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 サッカーのロシアW杯が開幕し、10日が過ぎた。開催国ロシアが連勝で決勝トーナメント進出を決めるなど、好スタートを切った。初出場のアイスランドはアルゼンチンと引き分け、メキシコが前回王者ドイツを下すなど、大国に挑む中小国の健闘も光る。本稿締め切り時でセネガルとの第2戦の結果はわからないが、我らが日本も相手が退場者を出すなどの運に恵まれ、初戦のコロンビア戦を2-1と勝利し、2大会ぶりのベスト16入りに向けて弾みをつけた。

 さて、そんななか注目を集めているのが、今大会から導入された「ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)」。前回のブラジル大会から採用された「(ボールがゴールラインを割ったかどうかを判定する)ゴールラインテクノロジー」に加えた映像分析による審判補助システムである。もちろんVARは、すべてのプレー判定に適用されるわけではない。対象となるのは「ゴールに関係するプレー」「PKであるか否か」「退場処分に値するプレーかどうか」「警告や退場を与えるべき選手の特定」の4項目に関わる場合のみ。ただ、大会の序盤を振り返ってもVARの判定が勝敗を分けたケースは少なくない。

 グループCのフランス対オーストラリアの一戦では、フランスが2-1と勝利を収めたが、フランスの先制点はVARで得たPKによるものだった。

 56分、フランスは縦パスに抜け出したFWグリーズマンがオーストラリアDFにペナルティーエリア内で足をかけられて倒れた。主審はいったんはプレーを流したものの、該当プレーを確認するため、試合を中断。映像を見て、フランスのPKを認めた。ちなみに、フランスの2点目もラインを越えたが微妙で、ゴールラインテクノロジーを用いて得点が認められた。

 そのほか、グループFでは韓国がVARによる判定で与えたPKの1失点でスウェーデンに敗れ、グループBではスペインに0-1と敗れたイランが、終盤にFKからゴールを決めたかに思われたが、VARにより決めた選手がオフサイドと判定され、ゴールは認められなかった。これらのシーンでは、VARのおかげで正しい判定が下されたことは確かである。

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