浅田真央、宇野昌磨、安藤美姫、鈴木明子、小塚崇彦、本郷理華、木原龍一といった新旧の各選手たち。地元から多くの名スケーターが誕生しているから、自然とナゴヤ人はスケートに愛着を持つ。他地域よりもスケートリンクの数が多いことも、スケートを身近に感じる要因だと考えます。ともに五輪銀メダリストの真央さんや昌磨選手が練習の拠点としていた聖地・大須スケートリンク(名古屋スポーツセンター)をはじめ、市内や近郊には、年間を通して一般客もスケートを楽しめる施設が3カ所もあるのです。

 屋内スケートリンクは、施設の維持にそれなりの費用がかかるため、全国的にはやむなく閉鎖するところも少なくありません。名古屋のリンクが健全に運営できているのは、やはり自動車産業をはじめとした製造業に支えられた、国内トップクラスの安定した経済が影響していることは揺るぎない事実です。

「フィギュア王国・ナゴヤ」を語るうえで欠かせない人物が、ご存じ、山田満知子コーチ。真央さんや昌磨選手、さらには伊藤みどりさん、村上佳菜子さんら数多くの五輪選手を育て上げた名伯楽です。私も大会の際に解説者として何度もお世話になり、含蓄ある言葉を何度もいただきました。なかでも印象深い言葉があります。

「名古屋では母親もコーチになる」

 山田コーチが指導する「グランプリ東海フィギュアスケーティングクラブ」が使用するリンクに行くと、コーチと一緒になって直接、我が子に言葉をかける熱心なお母さんたちを目にします。

 この光景、私自身にとって、ごく当たり前だと思っていたのですが、他の地域ではリンクサイドに母親が立つことはまずないそうです。正しく指導したいとの思いから、母親もフィギュアスケートを勉強し、それが子どもの技術向上につながるという好循環を生み出すというのです。

 えっ? 「2人の五輪金メダリストを輩出しているのは、名古屋ではなくて、ともに仙台じゃないか」って? それに対する私の回答はこうです。

 名古屋の逆襲を見ていてほしい!(メ~テレのアナウンサー・倉橋友和)

AERA 2018年6月25日号より抜粋

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