6月14日開幕のサッカーロシアW杯に臨む日本代表の主力の多くは“海外組”。テニスでは錦織圭、メジャーリーグでは二刀流に挑戦する大谷翔平(エンゼルス)らの動向が日々ニュースを賑わせているが、いまサッカー、野球、テニスなどメジャースポーツの一流選手の多くはより高みを目指し、海外に活躍の場を求めている。
ただ、レベルアップのために海を渡っているのは、何もメジャースポーツの選手ばかりではない。東京五輪で最高のパフォーマンスを出すために、日本ではマイナーとされる競技の選手も世界に飛び出している。その中でも注目したいのは、女性アスリート。多くの競技において、あらゆる面で男女格差が大きいスポーツ界だが、新たな道にチャレンジする姿は男女の垣根を越えてカッコよくも映る。
ホッケー女子日本代表「さくらジャパン」のDF及川栞(29)は現在、オランダ1部リーグのオランイェ・ロート(本拠はアイントホーフェン)でプレーする日本人女性初のプロホッケー選手である。
及川は昨年まで日本リーグの強豪ソニーHC・ブラビア・レディース(以下ソニーBL)にも所属していた。ソニーBLは実業団チームのため、及川は過去2シーズン、オランダリーグ開催中の9月から11月(前期)と2月から5月(後期)の間だけ休職という形で会社を離れ、ホッケーに専念してきた。
オランダリーグがない時期は、日本に戻り、業務と競技の日々。休職と復職を繰り返すなか「精神的にも肉体的にもギリギリまで追い込まれていた」と振り返る。ソニーBLからオランイェ・ロートへの“完全移籍”は、単にプレーする場所が変わるだけでなくそれまで7年間勤めてきた仕事を辞めるということも意味するだけに、様々な葛藤はあった。だが、東京五輪を見据え、18年1月からホッケー一本で勝負することに決めた。
「国内のタイトルは全部獲ったし、目指したい選手もいなくなってしまった」ことも退社を決意させる理由だったという。