イチローは来季、現役復帰するのか?(※写真はイメージ)
イチローは来季、現役復帰するのか?(※写真はイメージ)
会長付特別補佐就任の記者会見に臨むイチロー。3月の復帰会見では「いまマリナーズが必要としていることに、僕が力になれるのであれば、なんでもやりたい」と話していた(写真:AP/アフロ)
会長付特別補佐就任の記者会見に臨むイチロー。3月の復帰会見では「いまマリナーズが必要としていることに、僕が力になれるのであれば、なんでもやりたい」と話していた(写真:AP/アフロ)

 5月4日、米ワシントン州シアトルにあるセーフコ・フィールド。エンゼルス戦前に行われたマリナーズの全体練習に、イチロー外野手(44)の姿があった。肌寒く感じる風と、ときどき顔を出す気まぐれな太陽によって変わりやすい気温のなか、外野での球拾いが始まる。これまでと何ら変わらない時間が流れていたように見えた。

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 違和感を覚えたのは、その後だ。イチローの周りに若手選手が5、6人集まり、なにやら話し込んでいる。普段は黙々と練習をこなす背番号51が中心にいた。話の中身は彼らだけが知っている。ただし、いつもと違う空気がそこにはあった。

 マリナーズは3日、イチローが25人のベンチ入りメンバーから外れ、「会長付特別補佐」に就任したと発表した。大リーグ18年目となった今季は15試合出場で、打率2割5厘、9安打で終了。本塁打、打点、盗塁は記録していない。今季は残り試合には出場しないが現役は続行。チームに同行しながら練習は継続する。加えて外野守備や走塁、打撃について選手や監督、コーチ、球団フロントへ助言できる権限も与えられた。

 引退してすぐに球団のフロントに入る選手は多いが、現役選手のケースは極めて珍しい。マリナーズのジェリー・ディポト・ゼネラルマネジャー(GM)は「試合には出ないという以外は、今までと何も変えずにやってほしい」と説明した。9日現在チームは20勝15敗で、アメリカン・リーグ西地区の首位に2ゲーム差の地区3位。好調な出だしには、イチローの存在も大きいという。「彼がもたらす全ての要素を、これからもチームに還元していきたい」

 思い返せば、シーズン途中に立ち位置が変化する可能性は契約時からあった。マリナーズと単年契約を結んだのは、すでにオープン戦が開始していた3月上旬。正左翼手ら外野手に故障が相次いだからだ。故障者が全員癒えたときにどうすべきかは、地元メディアの間でずっと議論されてきた。

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