果たして、西野監督は誰を選ぶのか。代表未招集で面白そうなのは、今季オランダリーグ移籍1年目で8ゴールを挙げている右FWの堂安律(19、フローニンゲン)だ。4月15日のローダJC戦でも右サイドから中央へ切り込んで得意の左足でゴールを決めるなど、とくにシーズン後半になって調子を上げている。日本代表に数少ない左利き。浅野拓磨(23、シュトゥットガルト)のような爆発的なスピードはないが、高い技術力は日本人監督好みかもしれない。
コーチには東京五輪を目指すU-21代表監督の森保一氏も入閣しただけに、東京五輪世代のエース候補である堂安の抜擢は将来にもつながる。
「移籍直後は、Jリーグとの違いに戸惑いもありましたが、体の大きい選手とのプレーにも慣れて、年明け以降はホントに調子がいい。西野さんもオレも元ガンバだし(笑)、選んでくれたらやる自信はあります」(堂安)
もう1人若手を挙げれば、16年リオ五輪代表で現在はオーストリアのザルツブルクでプレーする南野拓実(23)。15-16、16-17シーズンと2季連続で2桁ゴールを記録したほか、今季も4月5日のヨーロッパリーグ準々決勝第1戦のラツィオ戦で途中出場ながらゴールを挙げているなど勝負強さは魅力だ。
そして、秘かに代表入りを願う声が多いのがJ1川崎Fの中村憲剛(37)だ。もはや大ベテランとなったが、昨季はチームをリーグ優勝に導くなど年齢的な衰えをまったく感じさせない。過去の大会でも日本代表はW杯直前にベテランを招集した例は多く、経験豊富なだけでなく、柔らかい人柄と中盤ならどこでもこなせるユーティリティー性を考えても理想的といえる。
「この年になっても、名前が挙がるのはうれしい。呼ばれたら、もちろん。それがなければ、この年でモチベーションは保てないですから(笑)」(中村)
困難な状況から脱するためにも、今度はポジティブなサプライズを期待したい。(スポーツライター・栗原正夫)
※AERA 2018年4月30日-5月7日合併号