その後紀平は3月に行われたプランタン杯への派遣が決まったものの、右足首の回復の遅れを理由に辞退している。長引く怪我と向き合う紀平だが、全日本で滑った『タイタニック』は、紀平のスケーターとしての力を改めて感じさせてくれるプログラムだった。
「来季はまた、新たに生まれ変わったかのような自分をお見せできるように頑張りたいです」
全日本のミックスゾーンで語ったこの言葉を、紀平はきっと実現してくれるはずだ。(文・沢田聡子)
●沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」