ロシアW杯を選手としての集大成としたい元エースに対し、指揮官はこう投げかけたが、果たして誰もが納得するプレーでポジションを奪い返せるか。
初招集となった中島に期待されるのも、ゴールに直結するプレーだ。昨夏、FC東京からポルトガル1部のポルティモネンセに移籍すると、ここまで9ゴール7アシストと得点を量産。
「爆発的なスピードがあり、1対1(のドリブル)で相手を抜けるかもしれない。そうしたプレーはなかなか日本人にはないので、(それが国際試合でも発揮できれば)大事な選手になると思う」(同)
スペインリーグで好調を維持し、最近の日本代表でのプレーぶりからもメンバー定着が安泰かと思われていた乾貴士(29、エイバル)と入れ替わるように左FWでの選出となった中島。リーグ戦28節までにほぼ全試合に出場しながら4得点にとどまる乾に対して、「1年前によかった選手がいまもいいとは限らない」(同)と調子のよさが買われたが、チャンスを生かせるか。
DF吉田麻也(29、サウサンプトン)、MF香川真司(29、ドルトムント)らは故障で呼ばれず、所属クラブで出場機会を失ったMF井手口陽介(21、クルトゥラル・レオネサ)、FW浅野拓磨(23、シュツットガルト)らが外れたが、アジア最終予選後に代表に復帰しベルギーリーグで今季10ゴール12アシストと結果を出した森岡亮太(26、アンデルレヒト)らが引き続き、招集されていることを考えても、ハリルホジッチ監督はとくに前線の選手に対しては、数字を気にしているのがわかる。
誰がゴールを決めるのか。W杯が迫ってくるなか、選手選考はいよいよ佳境を迎える。(スポーツライター・栗原正夫)
※AERA 2018年3月26日号