竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長。
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ローソンはコーヒーの「トップランナー」。(※写真はイメージ)
ローソンはコーヒーの「トップランナー」。(※写真はイメージ)

「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 ローソンが「マチカフェ」ブランドで高品質・低価格のコーヒーを販売し始めたのは、2011年1月。当時は、テイクアウトのコーヒーと言えば専門のチェーン店で、いれたてのおいしいコーヒーが100円台で飲めるという環境ではありませんでした。

 私たちが市場を切り開いたことで、「コンビニコーヒー」ブームが巻き起こり、7年たった今、またコンビニや外食産業でコーヒーのリニューアルが盛んになっています。

 ローソンはこの分野のパイオニア。100円の「定番コーヒー」では、豆、焙煎、ブレンドに徹底的にこだわっていて、品質でもトップだという自負があります。ただ、「定番」市場はある程度成熟していて、さらなる急激な拡大は考えにくい。だからこそわれわれは、ワクワク感、面白みのある「シングルオリジン」にもこだわっています。

 定番コーヒーが複数種類の豆のブレンドなのに対し、「シングルオリジン」はたった一つの品種のみでいれたコーヒーのこと。14年4月以降、ハワイやインドネシアなどの珍しいコーヒー19種類を提供してきました。

 現在は、パナマの「ベイビーゲイシャ」を販売中。樹齢5年以内の「ベイビーツリー」から採れた豆を使っていて、華やかな香りとほんのりとした甘さ、クリアな酸味が楽しめます。豆の収穫量が非常に少なく、専2門店では1杯2千円ということもあります。それが、税込み500円。これまでの最高価格ですが、本当に希少で、ローソンだからこそ実現できた価値ある500円です。もっととんがって、5千円のコーヒーがあってもいいと思っています。

 もちろん、定番コーヒーも改良しています。昨年9月から導入した新型のコーヒーマシンでは、抽出時間が40秒から25秒に短縮され、より細かいメッシュのフィルターを使うことで味わいがクリアになりました。既存店でも順次、切り替えています。コーヒーの「トップランナー」の座を譲るつもりはありません。

AERA 2018年3月19日号