笹田さんは、2020年の東京五輪開催が決まったのを機に、モスクワ五輪の選手団について調べ、代表選手178人が掲載された当時の資料を見つけた。うち100人余が、同じようにモスクワ五輪だけしか代表選手になれなかった人たちだった。そうした人たちを対象に、笹田さんらが日本スポーツ学会の協力で実施したアンケートの回答(60人超)は衝撃だった。五輪は直視できない。今でも話したくない。封印しておきたい。人生で一番嫌なことだった──。
「傷は大きいと感じました」と笹田さん。苦しみを経験しているからこそ、今回の平昌五輪で、いまだに政治介入が行われていることが許せない。(編集部・山本大輔)
※AERA 2018年2月26日号