上位校の学生が銀行を受ける理由はさまざまだ。意識が高い分、「社会全体に対するインパクトが大きく、その一端を担えるということにやりがいを感じる」(国際基督教大学3年男子)、「他の業界に比べて、経験できる業務の幅が広く、成長できる」(メガバンクに就職が決まった神戸大学4年男子)といった答えも多い。
もちろん、先に触れたとおり、安定感や給与の高さが魅力であるのは言うまでもない。大規模なリストラ計画が出ても「メガバンクが、私が生きている間につぶれることはないと思う」(銀行志望の同志社大学3年女子)。メガバンクに就職予定の同大4年の男子学生は、「下宿しながら大学に通い、お金のかかる部活に没頭できたのも、銀行員の父が年収1千万円を超えているからこそ。自分もこの生活レベルは維持したいので、収入は重視した」と話す。
しかし、メガバンクを受ける学生には「とりあえず」派が多いのも事実のようだ。東大法学部3年で現在就活中の男子学生は言う。「特にこれになりたいという職業はないので、とりあえず銀行かなと」。高校時代、「とりあえず東大」と考えたのと同じ感覚だという。
「メガバンクに入るのは、東大法学部に入るよりはラクそうだし、サークルの先輩もたくさん行ってるので、似たような人が多くてなじみやすい」
とも言う。
最終的にはメーカーに就職することになった慶大4年の女子学生も「とりあえず」三井住友銀行を受けて内定をもらった。周りの学生もほとんどメガバンクにES(エントリーシート)を出しており、各業界のトップ企業ばかりを受ける学生にとって、「メガバンクは『滑り止め・押さえという位置づけ』」だという。(編集部・石臥薫子)
※AERA 2018年1月22日号より抜粋