「イスラエルには兵役があり、サイバー部隊は非常に強力です。多くの若者が、除隊する3年後には実務経験を備えます。軍は民間企業と違って、そこまで効率を重視する必要がなく、クリエイティブな環境でもあります」
加えて、イスラエルの国民性も起業家的であると言われる。自分自身で何か新しいものを作り出したいと考える人が多く、失敗を恐れず、だめならまた別の方法でトライするそうだ。
「石油やガスなどの天然資源もほとんどない事実も関係しています。私たちのリソースは、頭脳なのです」
技術立国を支える人々の働き方はどうか。大臣は9歳と12歳の子どもがいるワーキングマザーだ。イスラエルでは2人は少ないほうで、3人が平均的だという。家族で子育ての負担を共有するのもごく当たり前のこと。
「私は帰宅が20時頃で遅いために、夫が16時頃に帰宅し、朝は私が学校に送ります。週に1度は私も16時に帰宅します。友人もみな共働き。ほとんどがIT関連に勤め、週1日は母親、もう1日は父親、祖父母が1日ずつ、あと1日はベビーシッターが子どもを迎えにいく、というように負担を分け合っています」
もちろん管理職の女性も多い。
「前大臣も最高裁判所長官も女性で、裁判官も半数以上が女性です。銀行もCEO(最高経営責任者)の多くが女性。伝統や女性自身の意思による部分も大きいですが、政府にできることもあります。国営企業では管理職の半数が女性でなければいけないと定められています」
(編集部・高橋有紀)
※AERA 2018年1月15日号