超高齢化社会待ったなしの日本。テクノロジーの進化は未来を切り開くか。オンライン診療やAI画像診断支援など最先端の現場を率いるメドレー・豊田剛一郎代表取締役医師とエルピクセル・島原佑基CEOの2人に聞いた。
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豊田:医療の課題は山積みですが、インターネットがもっと活用されるべきだと思っています。ネットの活用で患者は医療にもっと主体的に関わることができます。また、医療を効率化することもできます。
その一つとして、今はオンライン診療の普及に取り組んでいます。オンライン診療が普及することで、仕事や子育てで忙しい人など、これまで容易に医療機関へ行けなかった人たちが医療にかかりやすくなり、早くから治療ができるようになります。
2018年4月の診療報酬改定に向けて評価の動きも進むなど、オンライン診療は国が推進しており、さらに広がる見込みです。慢性疾患や認知症、かかりつけ医にかかる疾患などで、より活用されると見ています。
島原:CTやMRIなどで撮影された医療画像における課題は明確で、ここ10~15年で画像が膨大になって、すでに専門医が見ることができる限界を超えています。私たちはそれを支援したいと、人工知能(AI)を活用した医療画像診断支援システムを開発しています。例えば、MRIの画像から、脳動脈瘤の箇所を自動的にAIが見つけてアラートを送るといったシステムです。
豊田:脳神経外科医として病院で働いていましたが、診断のための検査画像が何百枚も出てくるので、当直中もいつも画像を見ていました。何とか現場が頑張っているのですが、マンパワー的にも人の目で見て病気を見つける限界を感じていました。
島原:私たちは医療画像の活用に10年くらい前から注目していましたが、資金調達をして会社としてAIを活用した医療画像診断支援に注力したのは1年半前から。問い合わせが16年の春くらいから急に増えましたね。
医療現場で使うためには、医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を得ないといけないので、やるとなったら結構パワーが必要なんです。
豊田:承認を取るんですか?