ソチ冬季五輪で銀メダルを獲得したスノーボード女子アルペン・竹内智香選手が「AERA」で連載する「黄金色へのシュプール」をお届けします。長野五輪を観て感動し、本格的に競技をスタート。2018年2月の平昌五輪では念願の金メダル獲得を目指す竹内選手の今の様子や思いをお伝えします。
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SNSとの付き合い方について前号では話しましたが、自分の言葉や考えを発信するという意味で、メディアとの関係についても常に意識しています。いろんな報じられ方や書き方をされることもありますし、一歩間違えれば、危険な方向に行くこともあります。メディアの方々になるべくポジティブな報道をして頂けるよう、常に良い関係を築いていきたいと思っています。
いつも取材を受ける際、自分の中で大事にしていることがあります。それは、外に出てほしくない言葉は絶対に口にしないということ。私は常に結構ストレートに物事を話すタイプです。でも外部に向けて話すことはいつも私が周囲に対しても表現していることなので、どこで口にしても後ろめたくはないという思いがあります。公の場で発言する言葉には常に責任を持ち、言うべきでないことは言わない。その判断が重要です。
さらに2017年は私が取材をし、報じる側を経験できたことも大きかったです。夏にはNHKの「サンデースポーツ」でマンスリーキャスターを務めさせていただきました。
1カ月間、毎週日曜日にスタジオでの生放送に出演し、アナウンサーの方の隣で原稿読みをし、また実際に外でインタビュー取材も経験しました。これまでは取材を受ける側だったので、逆の立場の事情が正直わからないことがありました。質問する側になったことで、取材する側の難しさも理解できましたし、数分のVTRを製作するにもどれだけの苦労があるかがわかりました。だからこそ、今後はさらに丁寧な取材対応をしていこうと思ったものです(笑)。
14年のソチ五輪で銀メダルを取るまでは、それほどメディアに取り上げられることはなかったです。私自身は取材に協力する姿勢は常に変わりませんでしたが、ありがたいことに最近は多く取材して頂けるので、昔のように全てにたくさん時間をかけられないこともあります。それでも、取材担当者の方とのちょっとしたコミュニケーションを大切にしています。
何より、親近感のある選手のほうが報じる側にも心が入ると思います。取材という作業を通してですが、最後はやっぱり人対人。目の前で取材に携わる人、そしてその向こう側にいる世間の人たちの心を動かすためにも、メディアに伝えるという行動はすごく大事だと考えています。
(構成/西川結城)
※AERA 2018年1月1-8日合併号