「賃貸物件の需要と供給のバランスが崩れてきているのは確かです。ワンルームや1Kの物件も学生さん向けという意識を持たず、社会人を含めた単身者向けという括りでお客さんを探しています」

 より厳しい状況にあるのは駅から離れた郊外の物件だ。敷金・礼金をゼロにしたり、家賃を3カ月間無料にしたりする業者も珍しくないという。

 あきる野市との境に位置する杏林大学の移転は、周辺住民の生活にも影響を及ぼす。

 創業24年のそば店の店主(69)は「バス路線の減便の影響が一番大きい」と打ち明けた。

 地元の路線バスは16年春のダイヤ改正で、JR八王子駅-杏林大学間を直行する「急行便」を含め杏林大学に発着する全ての系統を廃止した。

 店主の妻(63)はこんな「異変」もこぼす。

「イノシシ、アライグマ、ハクビシンがふもとに出てくるようになりました。大学がにぎやかだった以前は、この辺までは出てこなかったように思うんです。大学のせいにしてはいけないかもしれませんが……」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2017年11月27日号より抜粋

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