八王子市域の大学・短大などは現在20校(杏林大学を除く)。市などの調べによると、都全体の学生数は12年の75万3531人から、16年は76万5043人と少子化の中でも増加。一方、八王子市内は12年の10万5229人から、16年は9万5653人と漸減傾向が続く。

 八王子市に大学が集まったのは1963年以降。主な要因として、過密化是正を目的に大都市への工場立地を規制する工場等制限法が60年前後に制定(首都圏59年、近畿圏64年)された点が挙げられる。18歳人口の増加に伴い、大学も同法の制限対象に盛り込まれた。これにより、キャンパスの新設・拡張を企図する大学の郊外移転が進み、東京都心から約40キロ離れ、広大な用地を確保しやすい八王子市は大学などが集積する「学園都市」の代表格に浮上した。

 転機は同法が廃止された02年。18歳人口が減少局面に入る「2018年問題」も見据え、これまでとは逆に郊外からの「都心回帰」の流れに拍車が掛かる。背景には、都心の利便性や華やかなイメージを重視し、学生獲得競争で優位に立とうとする大学側の経営判断がある。

 この「都心回帰」の最前線ともいえるのが八王子市。潮目の変化を敏感に受け止めているのは不動産業者だ。市内32業者が加盟する「八王子不動産協同組合」の関係者は言う。

次のページ