平昌五輪を控えたフィギュアシーズンが開幕する。代表2枠を巡って日本女子は混戦模様。有望なのはエースの宮原知子や三原舞依だけではない。
平昌五輪の日本女子の出場枠は「2」。3年連続で全日本選手権の表彰台に上がったシニア2季目の樋口新葉(16)も、GPシリーズや全日本で宮原、三原に勝る成績を残して出場権を手にしたい。樋口は9月、今季初の国際大会で自己ベストを更新。スピードのあるジャンプを取り戻し、表現面も成長している。
フリースケーティング(FS)で使うのは、映画「007」の曲だ。「滑りこなせたらたくさん点数がもらえるプログラム」で、FS145点超え、総合220点が見えてきた。
もう一人、今季注目を集める女子選手がいる。シニアデビューする本田真凜(16)だ。
2016年の世界ジュニア女王。ジャンプと豊かな表現力が魅力だ。初めて出場したジャパンオープンで闘志に火がついた。ミスは少なく、非公認ながら自己ベストを上回った。しかし、女子6選手中5位。翌日のGPシリーズ記者会見で、こう語った。
「ジュニアのときだと満足のいく演技や点数だったかもしれないが、トップの選手と試合をすると、まだまだ足りないところがたくさんあって。久しぶりに悔しい気持ちを持っているので、大切にしたい」
GPに向けてジャンプ構成を練り直そうとしている。
本田同様シニアデビューを果たす坂本花織(17)と白岩優奈(15)、宮原の欠場で急遽出場した昨季世界選手権で16位に沈み、悔し涙を流した本郷理華(21)も、GPシリーズに参戦する。
女子はトリプルアクセル以上の回転数の技で差をつけようとする選手は多くない。勝負のカギは「ミスをしない」「技術点のGOE」「基礎点が1.1倍になる後半のジャンプ」だ。
前後の動きを工夫し、演技の流れを切らずにジャンプを跳ぶなどしてGOEをプラスに。後半に高難度の連続ジャンプを入れてさらに点を稼ぎたい。後半に五つ以上ジャンプを跳ぶ選手もいる。最後まで滑り切る体力を考えつつ、ジャンプをどう配置し組み合わせるかが重要だ。
平昌五輪2枠を巡る熾烈な争いが、日本女子の力をさらに引き上げる原動力となるはずだ。(朝日新聞スポーツ部・浅野有美、後藤太輔)
※AERA 2017年10月23日号より抜粋