実際、これまでの日本人受賞者の出身大学を見てみると、終戦直後は京大と東大出身者に集中しているが、最近は、北海道、東北、名古屋といった他の旧帝大や徳島大学、埼玉大学、東京工業大学、神戸大学、山梨大学など、地方国立大学にまで分散している。
小泉さんら「研究力分析指標プロジェクト」が研究者の「厚み」を測るために用いたのは、「institutional h5-index」だ。個人の研究者を評価する指標として一般的に使われる「h-index」を応用したものだ。5年間にその組織から発表された論文を、引用された数が多い順に並べ、被引用数とその順位が一致したときの数を「指数」として用いている。
例えば、A大学が5年間に発表した論文の中で、引用された回数が最も多い論文は52回、2位が5回、3位が3回だったとしよう。この場合、A大学の指数は3だ。被引用数1位が15回、2~4位が12回、5位7回、6位6回のB大学では6。
論文の「質」だけで評価するとA大学のほうが高評価にみえるが、この指標では、トップ論文が突出して引用されているA大学より、ほどほどに引用されている論文の数が多いB大学のほうが「研究者の層が厚い」と評価している。(編集部・長倉克枝)
※AERA 2017年10月16日号より抜粋