「応援を続けるか迷いもしたけれど、国会での鋭い質問や女性目線の政策に期待して、見守っていきたいと思っています」(後援会の女性)

 山尾氏は駅前で演説やチラシを配り、後援会向けの集会などに参加し、週刊誌報道や今後について説明をしている。駅前でチラシを受け取る人や集会の参加者は、これまでより女性が増えているという。

 山尾氏は、本誌の取材にこう語った。

「通勤中の女性に『負けないで』『仕事で頑張って』と声をかけてもらいました。今回の騒動では男性から『女性が傷ついている』と言われることも多かったので、支えてくださる女性の存在は本当にうれしいですね。14年の衆院選で野党の女性議員で小選挙区で勝ち上がったのは私と辻元(清美)さんだけ。いまのリベラルはさらに風前の灯。待機児童問題の解消や女性議員を増やすためのクオータ制導入関連法案の成立など、リベラルな女性の声をつないでいくことが私の役割だと今は思っています」

●妻、母の役割どこまで?

 民進党ホープだった山尾氏の一連の騒動は、安倍晋三首相が衆院解散の衝動にかられた一因とも指摘されている。民進党が事実上消えてしまった展開をどうとらえているのか。

「離党した私のほうが『共に生きる』という民進党が目指す社会像を自由に言える皮肉な状況です。憲法や安全保障という国家の重要な面で信念の転向を迫られているとすれば、胸が痛みます」

 女性政治家は仕事とプライベートが混同されやすい。政治家の資質に「妻として、母として」の役割はどれだけ大切なのだろう。いま、有権者も問われている。(編集部・竹下郁子)

AERA 2017年10月16日号