選挙の2連ポスターの相手に山尾氏が選んだのは無名のワーママ。女性たちとの共闘の意思と、「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログを匿名だからと相手にしなかった安倍首相へのアンチテーゼになっているという(撮影/編集部・竹下郁子)
選挙の2連ポスターの相手に山尾氏が選んだのは無名のワーママ。女性たちとの共闘の意思と、「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログを匿名だからと相手にしなかった安倍首相へのアンチテーゼになっているという(撮影/編集部・竹下郁子)

 この人の絶頂と転落のギャップが、衆院解散・総選挙の引き金を引いたのか──。古巣が消えて、山尾志桜里前衆院議員は街頭に立つ。

「私たちは、政治家はその政治姿勢、政治活動などによって評価されるべきだと考えます。政治家として、法に触れるわけでもなく臆測にすぎないプライバシー報道によって、政治生命を奪われるようなことがあってはなりません──」

●政治志す女性増えて

 9月26日、市民団体「女性首長を実現する会 愛知」の女性たちが出した「山尾しおり議員を応援する声明文」の冒頭部分だ。前衆議院議員の山尾志桜里氏(43)は週刊誌の不倫疑惑報道を受け、民進党を離党。ただ、報道内容は一貫して否定し、今回の衆院選では愛知7区から無所属で立候補する。同会共同代表の神永れい子さんは言う。

「山尾さんを応援している女性たちもいることを伝えたかったんです。もし報道にあった臆測が本当だったとしても糾弾していいのは当事者である家族だけ。メディアでも有権者でもありません。今井絵理子議員に同様の報道があったときに何もアクションを起こさなかったことを反省しています」

 声明発表後は、不倫についての怪文書を何度もまかれ困っているという地方の女性市議をはじめ、多くの共感のメールが届いた一方、「声明に賛同できないのでメーリングリストからはずしてください」という批判の声もあった。だが、神永さんは方針を変えるつもりはない。

「愛知はこれまで女性の知事や市町村長が一人もいないんです。山尾さんのような優秀な女性議員を大切にすることで、政治家を志す女性が増えるといいなと思っています」(神永さん)

 山尾氏が初当選した2009年から応援してきたという後援会の女性(72)は週刊誌報道を知り、

「気のゆるみがあったのでは。もっと慎重になってほしかった」

 と言うが、週刊誌報道から山尾氏が出馬を表明するまでの約2週間は自身も友人との連絡を絶っていた。不用意な発言で騒動を広げたくなかったからだ。

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