プレイングマネージャーの主な利点としては、演者としての自身の商品価値を生かした他の所属タレントの売り込み(※いわゆる「バーター出演」の交渉)がしやすかったり、常に現場の空気を感じることで業界のニーズを感受できたり、同じ立場で所属タレントの悩みや相談事のケアがしやすいといったことが挙げられそうだ。
映画配給会社のスタッフはこう話す。
「もともと、小栗さんは山田孝之さんやムロツヨシさん、橋本環奈さんなど、性別や所属事務所などを超えて、共演者や役者仲間を自宅に招いて飲み会を行うなど、兄貴肌で面倒見のいい性格で知られています。また、若くして映画監督デビューを果たすなど以前からプロデュース業にも興味を示していたので、社長業は向いていると思いますね」
その一方で、危惧されるのがスキャンダル対策という。
「不倫報道をはじめ、芸能人にとってスキャンダルはタレントとしての商品価値を一気に失いかねません。所属タレントの顔ぶれを見ると私生活でヤンチャなうわさがある人もちらほらいるので、その管理も重要な仕事になります。滝沢秀明さんは社長就任後、タレントの綱紀粛正を強めたことは有名です。ただ、小栗さんは自身も過去に密会写真を撮られたりしたことがありますし、性格的にタレントを締め付けるのは嫌がりそうなタイプです。果たして、タレントの私生活をうまく管理できるかは未知数です」(同)
そのほか、小栗の社長就任によって業界内で注目を集めているのが、以前に公言していた芸能界改革だ。
小栗は雑誌『クイック・ジャパン』(2014年8月発売号)で鈴木亮平と対談した際に「僕らの同世代でも上の世代でも『この人、何も考えてないのによく生き残ったな』っていう人はいますから。事務所の力もありますし」と語り、「例えば『映画にしか出ない』とか言ってる人が、コンサバなテレビコマーシャルに出ているのを見ると、『話が違くね?』って思ったりするんですよ。『金もらったらコンサバなテレビコマーシャルに出るのに、テレビドラマは下に見るんだ。意味わかんねえ』って」など俳優の在り方に疑問を呈する発言もしている。そのうえで、俳優のための労働組合の必要性を訴え、「(労働組合を)ぼちぼち本格的にやるべきだなと思っています」「やっぱり組織ってとてつもなくでかいから、『自分は誰かに殺されるかもしれない』くらいの覚悟で戦わないと、日本の芸能界を変えるのは相当難しいっすね」と語っている。当時は芸能界批判として波紋を広げたが、これが小栗の本心なのかもしれない。