■「自分は何もできない」は、ただの思い込み

 若い脳の方が「可塑性」が高く、あるレベルにはすぐ達するが、年を取ると時間がかかってしまう。しかし、確実に能力は獲得できるのだ。よって“自分は何もできない”というのは、ただの思い込み。楽器を70歳から始めたり、80歳から英会話を始めたりしても確実に伸びることがわかっている。

「高齢になったら何もできなくなるのでは、という壁が少しずつ取り払われてきているのは、情報のおかげです」(瀧先生)

 さらに続けて、

「今の社会はいろいろな情報が手に入ることで、可能性がどんどん広がっているのです」(同)

 瀧先生によると、健康になるための情報が広がり、入手しやすくなることは喜ばしいことであるという。さらに中高年、そして高齢者が生き生きと活躍している姿を発信していることで、多くの人が勇気づけられるという波及効果もあるという。

ニューヨーク市内から車で2時間ほど北上したハドソン川沿いにある、酒蔵内の様子
ニューヨーク市内から車で2時間ほど北上したハドソン川沿いにある、酒蔵内の様子

 桜井さんはニューヨークへ移住後、運転するのを楽しみにフォードマスタングを購入した。自ら運転して通勤するという。

 すると、瀧先生は

「いいですね。私もアメ車が大好きです」と顔をほころばせた。

■脳を若返らせるために、必要なこと

 このように仕事だけでなく、趣味を楽しむことが脳や身体の健康のためによいという。

「自分がやってみたい、知りたい、経験したいということは、どんどん挑戦してみることです。好きなことをするというポジティブな感情というのは、記憶力を維持するということもわかっています」(瀧先生)

 脳を若返らせる、維持するために必要なこと。それは常に好奇心を持って、自分の好きなことやってみること。

「趣味を持ってさまざまな活動をすると、将来の認知症リスクを下げることにもつながります。つまり、“主観的幸福感”が重要なんです」(同)

 何か大きなことを成し遂げなくてもいい。小さな幸せをたくさん積み重ねでいくことで、幸せは大きくなる。ささやかながら日々が楽しいとか、ワクワクするという気持ちを持つことが大事だ。

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