
就任200日を超えたトランプ大統領だが、「正常ではない。ただただ狂っている」(ワシントンのベテラン記者)というように、混乱と非難の最中にある。なぜか。
「ニューヨークは、あんたを嫌いだ」
「くたばれドナルド・トランプ」
8月14日夕、大統領就任後初めてニューヨークの自宅に戻ったトランプ大統領は、ニューヨーカー数千人の罵声とブーイングの嵐に迎えられた。
理由はいくつかある。12日に起きた米南部バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義・極右団体の暴動で、人種差別に反対する白人女性が命を落としたこと。それに対し、トランプ氏が差別主義者らを直ちに名指しで批判しなかったこと。さらに、北朝鮮のミサイル発射をめぐるトランプ氏の感情的な対応だ。ピンクのヒジャブをかぶり、デモに参加していた社会学博士のケイティー・カレアガさんは、こう語った。
「ここに来た理由はいろいろあるけど、北朝鮮問題は、世界の問題。私は、ヒロシマを経験したわけではないけれど、核兵器がどんなものかは知っている。大統領だからといって、何をしてもいい、何を言ってもいいというわけではない」
これは、彼女だけでなく、トランプ氏の身内であるホワイトハウス側近、共和党議員でさえ、思っている。
●火消しで面目丸つぶれ
北朝鮮が「米国は制裁の何千倍もの報復に遭うだろう」と表明した直後の8日、トランプ氏は、こう発言した。
「北朝鮮は、米国を脅迫するのをやめるのが最善だ。彼らは、これまで世界が見たこともないような炎と怒りに遭遇することになる」
「炎と怒り」という言葉に、ホワイトハウス側近も閣僚も、震え上がった。中国の習近平(シーチンピン)国家主席が電話会談で、「緊張を高めるような言動」を慎むようトランプ氏に訴えたほどだ。
トランプ氏の直感的・私的ツイート→側近による「火消し」、というのがパターン化している。「恫喝」発言は、ティラーソン国務長官、マティス国防長官、マクマスター国家安全保障担当補佐官などとすり合わせたものではない。ポンペオ米中央情報局(CIA)長官は、テレビ出演し、こうコメントした。