スペイン国王の長女で17歳のレオノール王女が、今夏にも3年間の軍事教練に参加することになった。気品のある美しさとファッションセンスから高い人気を誇る王女だが、王位継承順位は第1位、つまり将来は国家元首そして軍の最高司令官になりうる立場だ。男女が同じ権利を持つとともに、義務も課される世界の王室では、軍隊に入る王室の女性メンバーは珍しくない。そして、日本の皇室も変わりつつある。
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王室の若い王女が、軍隊に入って訓練を受ける――。このニュースと日本の皇室のジェンダー平等についてどう思うか、宮内庁に関係する人物にたずねてみたことがある。
「ジェンダーは、時代が変われば別の流れもあるかもしれないね」とつぶやき、軍事教練については苦笑いを浮かべるだけだった。
欧州では、男女を問わず第1子の王位継承や女性の君主を認める王室が多い。なかでも英国とスペインは、古くから女性の君主を認めている。スペインでは国王フェリペ6世の長女であるレオノール王女が第1位の王位継承者であり、将来の女王となる人物だ。
レオノール王女といえば、母のレティシア王妃譲りの美貌を持ち、妹のソフィア王女とともにロイヤルの美人姉妹としてファッション誌で何度も特集が組まれるプリンセス。
しかし、王女が国民に愛されているのは、将来の君主としての才覚だ。流暢な英語のほかにフランス語、アラビア語、中国語も学ぶ。もちろんスペイン国内の多言語であるカタルーニャ語、バスク語、ガリシア語にも通じる語学力の高さでも知られる。
スペインの歴史は、欧州諸国やアラビア地域との戦争と外交の連続だった。多言語の習得を惜しまない王女の姿からは、将来の女王となるべく育った覚悟が伝わる。
そして王女を一躍有名にしたのは、13歳のときのスピーチだった。「スペイン1978年憲法」制定40周年の祝賀行事で、憲法の条文を堂々と朗読。その翌年に登壇した「アストゥリアス皇太子賞」授賞式でも名スピーチを披露し、会場を沸かせた。