「教職員の働き方を考える」シンポジウムが東京・千代田区のプレスセンターホールで25日、開催された。
「働き方改革実現会議」が設置され民間労働者には罰則付きの時間外労働の上限規制が設けられたが、公立学校の教員は例外とされ取り残されている現状がある。「学校にも働き方改革の風を」との呼びかけに教育関係者ら約250人が参加した。
教職員の働き方改革推進プロジェクト呼びかけ人代表で明星大学教育学部教授の樋口修資さんによる基調報告に続き、連合会長の神津里季生さん、教育評論家の尾木直樹さん、全国過労死を考える家族の会 公務災害担当の工藤祥子さん、前文部科学大臣の馳浩さんがパネリストとして登壇した。
07年に中学校教員だった夫(当時40歳)を過労死で亡くした工藤さんは、「この10年、主人はなぜ死んでしまったのかずっと考えている。主人の死はその後何かに生かされてきたのか」と教員の労働実態の改善が進んでいない現状を訴えた。
連合総研の調査によれば、過労死ライン相当とされる週60時間以上勤務する教員の割合は小学校で7割以上、中学校で8割以上という。
尾木さんは「教師は子どものためであればいくらでも時間を使う。やりがいがあるし、教師の本能でもある。それを“自発的残業”ととらえるのは違う。国はその構造に甘えてはいけないし、教師自身もそこにハマっていかないようにしなければ」と指摘した。
2020年度の教育改革ではプログラミング教育の必修化、英語の教科化などでさらなる教員の負担増が目に見えている。
「現場が整っていない。このままでは大失敗に終わる」
と尾木さん。
強制力をともなった勤務時間の管理、授業の持ちコマ数の上限規制、教職員の定数改善の必要性のほか、子どもにも教員にも負担が大きいと問題になっている「ブラック部活」についても話が及び、意見が交わされた。(編集部・高橋有紀)
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