小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。オーストラリア行きを決断した顛末を語った新刊『これからの家族の話をしよう~わたしの場合』(海竜社)が発売中
小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。オーストラリア行きを決断した顛末を語った新刊『これからの家族の話をしよう~わたしの場合』(海竜社)が発売中
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 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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 あなたの周囲にLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)の人はいますか? 日本の人口のおよそ7.6パーセント、13人に1人の割合ですから、左利きやAB型の人と同じくらい。あなたがそうでなくても、知り合いにはいるはずです。うーん、でもやっぱり、自分の周りにはいないなと思った人は、無意識のうちにLGBTは「見た目でわかる」と思っているのかも。

 誰にとっても、アイデンティティーや性に関する話はとても大切でプライベートなもの。普段は人に言わないですよね。服装や言動に表れるとも限りません。なのに「自分の周りにLGBTはいない!」と断言するのは、随分乱暴です。そんなあなたがイメージしている「LGBTっぽい人」って、どんな人なのでしょう?

 テレビの人気者には、性的マイノリティーであることを公言しているタレントさんもいます。同性婚の権利を訴えるカップルや、性別適合手術を受けた人がニュースで取り上げられることも。

 それらの映像を見て「LGBTといえばこんな感じの人」と先入観を持っていないでしょうか。特に人気タレントさんだと、印象が強いですよね。でもそれはあくまでも個人の特徴。性的マイノリティーの代表ではありません。

 LGBTの人のほとんどは、テレビ画面の中ではなく、学校や職場やご近所にいます。公言するかしないか、服装や性格も人それぞれ。見た目でわかるはずというのは、思い込みにすぎません。

 私は友人が性的マイノリティーだと偶然知ったことが2度あります。その時、それまで相手をLGBTではないと決めつけていたことに気づきました。想像したことすらなかったのです。

 今は誰に対しても、LGBTかもしれないし、そうでないかもしれないと思って生活しています。自分とどう違っていようと、その人であることは変わらないのですし。

AERA 2017年6月12日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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