体がダルい。どうにも頭が重い。でもはっきりと名前が付く病気というわけではないから、病院には足が向かない。そもそも、平日の昼間に仕事を抜け出す余裕なんかあるわけない。これが、過剰労働社会ニッポンの「現実」だ。AERA 2017年4月24日号では「ダル重」を大特集。あまたある健康ビジネスに踊らされることなく、このダル重を解消するには、どうしたらいいのだろうか。
近年では、そんなダル重解消に、健康食品を取り入れる人も増えてきた。しかし、健康食品は本当に効果があるのだろうか。健康食品に詳しい、大阪大学大学院の大野智准教授に話を聞いた。
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健康に良い効果を期待して食べたり飲んだりする健康食品。本当に効果はあるの?
「トクホ(特定保健用食品)と機能性表示食品以外は、効果が本当にあるのかどうかわからない、というのが本当のところです」
と、健康食品に詳しい、医師で大阪大学大学院の大野智准教授は説明する。
トクホは、実際の製品を使う人たちと、プラセボ(偽薬)を使う人たちに無作為に分けて試験をする「ランダム化比較試験」と呼ばれる信頼性の高い臨床試験で効果が確認されている。
ところがほとんどの健康食品はこうした臨床試験が行われていないため、効果はわからない。トクホでもあくまでも一定の条件を満たした試験の結果であって、誰にでも効果があるわけではない。
だが、人の臨床試験で確かめられていなくても、健康食品というからには、何か健康に良い効果があるはず──。そんなふうに期待すること自体が、実は「効き目」につながるかもしれない。
ある関与成分が含まれる食品を、一定期間摂取すると総コレステロール値が10~20下がった。ところが、その成分が含まれないプラセボを摂取しても総コレステロール値は5~10下がった。
これは、あるトクホの安全性や有効性を調べた臨床試験の結果だ。総コレステロール値が220~230と、やや高めの人たちを対象に行われた。