東日本大震災、そして福島第一原発の事故から6年。熊本地震からも、まもなく1年がたとうとしている。いずれの地でも復興は道半ばで、いまも多くの人々が不自由な暮らしを強いられている。しかしその現実の一方で、「風化」は確実に進んでいる。4大都市圏のハザードマップと不動産の値動きを重ねあわせると、「人気の街」の災害危険度がはっきりとあぶり出された。帰宅困難者対策には「東高西低」の傾向が見て取れた。AERA3月13日号は、6年後のいまだからわかったことも含め、「震災時代」を生きるために知っておくべきことを特集。建築家の隈研吾さんに、自宅で取り組んでいる震災対策について聞いている。
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15年前、いま住んでいる新宿区矢来町に引っ越しました。地盤が固い土地、近所に公園がある、耐震設計といったことは、家を建てる前提条件です。また、東日本大震災後は、ガラスや瀬戸物のような割れやすい食器を使うのはやめて、木製やゴム製を使うようになりました。
でも、構造物でできる対策には限界があります。耐震設計だから大丈夫と、建築を過信してはいません。災害が起こった時に、自宅から歩いていける範囲内でどういう生活ができるのかを考えました。
東日本大震災では、地方で農家をしている親戚から野菜を送ってもらい、人のネットワークの大切さを感じました。ただ、震災当時、近所付き合いはほとんどなかったんですね。