「よそ者の疎外感を感じることもあります。でも、異文化だからこそ好奇心がかきたてられ、都市と地方、世界と地方の懸け橋になれるのではないかという思いも募る。今後は東京と山口での2拠点生活を考えています」
将来的には、食を中心にして旅行業にも広げていきたい。
「地方は手つかずの魅力がまだたくさんあるフロンティア。先端の仕事についていた人ほどクリエイティビティーが刺激され、引き寄せられるのだと思います」(和田さん)
昨年11月下旬、宮城県の「東松島食べる通信」編集長、太田将司さん(43)は東京・銀座にいた。老舗和食店「銀座こびき」で、秋号に掲載するちぢみほうれん草を使った料理を撮影するためだ。テーブルには、3代目の金子大史さんが作ったちぢみほうれん草料理が並ぶ。カメラを手に撮影するのも、取材、執筆するのも太田さんだ。
●中心を突き抜けて外へ
ブランド家具店などで働いてきた。11年夏、東日本大震災で津波の被害を受けた東松島市に行き、ボランティアの夏祭りを手伝った。帰り道、多くの家屋が倒壊したままの光景を目にした。震災からすでに数カ月。衝撃を受け、移住した。
「漁師の仕事を初めて見たとき、嫉妬するほどかっこいいと思った。彼らの仕事は命につながっていますから」(太田さん)