つまり、大谷の意思次第によって、早ければ来オフにもメジャー移籍が実現するということだ。果たして大谷は、いつ決断するのか。

「一年一年、ファイターズのためにしっかり頑張って、ようやく16年シーズンで日本一になることができた。メジャーに対する憧れみたいなことは、心の片隅にはずっとあります」(大谷)

 米国でも二刀流を貫くのか。そしてメジャー球団がそれを認めるのか。17年のスポーツ界は大谷の話題一色に染まるだろう。

「日本で二刀流を4年続けてきて、本気で二つやってもいいと言ってくれる(メジャー)球団が確実に増えてきている。少なからず自分がやってきたことを評価してくれているのはすごく嬉しい。ただ、特に新しいことをやりたいという思いが強いわけではないんです。なんていうのかな、他の人がやれることをできたって、評価されないじゃないですか。たとえば、自転車に乗って、『すごいだろ』と言ったところで、誰も褒めてくれない。野球選手は誰もがなれるものではないですよね。だから僕も目指した。そういったことの究極の延長線にあるのが、アメリカでの二刀流だと思います」

 17年シーズン開幕の前には、サムライジャパンの一員として参加する第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が控える。投手登録だが、当然、打席にも立つことになるはずだ。

「日本で対戦したいと思っていた選手とは、だいたい対戦することができた。(16年のサイ・ヤング賞を受賞したマックス・)シャーザーと対戦できるかもしれないのは楽しみです。(メジャー球団に名前を売りたい?)それよりも優勝したいです」

 先人なき道を歩み続ける大谷は、既にメジャーへの道しるべを視界に捉えているのだろう。(ノンフィクションライター・柳川悠二)

AERA 2017年1月16日号

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