「すごい熱気でした。幅広く受け入れられると思う。ポケモンGOに次ぐヒットが見込まれる」
さらに、企業との“コラボ”にも注目だ。
「ソーシャル系アプリと自社サービスの連携です。例えば、LINEではピザチェーンの公式アカウントがあり、会話しながら注文できます。こうした取り組みは今後も増え、近い将来にはLINEで航空券が購入できるかもしれません」(石川氏)
もう一つ、業界で期待されているのが最新テクノロジーの活用だ。AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、IoT(モノのインターネット)など、新しい技術がアプリに進出しつつある。現実の中にデジタル情報を映し出すARは、ポケモンGOで使われているのは周知の通り。その次に来ると言われているのが、専用ゴーグルを装着すると別世界にいる感覚になれるVRだ。
さらに、注目なのはIoTだ。様々なモノがインターネットに繋がる仕組みで、特徴はモノ自らがネットに信号を発信する点だ。ユーザーと相互通信することでモニタリングやコントロール、データの蓄積ができる。
「今後は白物家電やAV機器、車、時計など、あらゆるものがネットに繋がります。人とモノを繋ぐインターフェースがアプリです。スマホはリモコンのような存在ですね」(木暮氏)
例えば玄関の鍵をかけ忘れても外出先から施錠したり、ペットの様子をモニタリングしたり、IoTの可能性は無限にある。
●世界は10兆円市場に
話題性のあるネットワーク家電を開発している家電メーカー・Cerevoの代表取締役・岩佐琢磨氏は、IoT×アプリについて次のようにコメントする。
「IoTの世界では、本体にほとんどインジケーターやボタンがなく、すべてをアプリから制御するような端末もたくさん出てきています。(従来の)家電製品ではなし得なかったUI(ユーザーインターフェース)体験を提供できることがIoT×アプリの可能性ですね」
では、最新技術とアプリの融合によって私たちの生活はどう変わるのか。石川氏は言う。
「ますます便利になると思います。例えば初めて行く大きな駅でもアプリが空間認識し、切符売り場の位置、買い方など、すべてを案内して迷わなくなるでしょう。外国人なら翻訳するし、障害物があればセンサーが感知して通知もする。お年寄りや体が不自由な方にとっても有用性が高まると思います」
App Annieによると、世界のアプリストア経済規模(総収益)は、20年に1011億ドル(約10兆3千億円)に達する見通しだ。15年と比べて2倍以上。私たちはアプリ新時代の入り口に立っている。(ライター・内山賢一)
※AERA 2016年9月19日号