「新興市場はスマホの普及率が低く、大きな可能性を秘めています。なかでも中国は16年の第2四半期にApp Storeのゲームの収益で1位になりました。今後ほかのカテゴリーでも、首位のアメリカとの差が縮まっても意外ではない。中国の次に来ると考えられているのがブラジル、インド、ロシアです」

 同社の資料によると、このほかベトナム、アルゼンチン、エジプトも好調だ。これらの地域は今後数年間で数十億規模でスマホユーザーが増えると見られている。世界でも有数の大きな市場となった日本だが、現状を聞くと関係者が口を揃えるのは、成長率の鈍化だ。

 IT業界に精通している投資会社・インスプラウトの代表取締役・三根一仁氏は、アプリ業界を将来有望な業界と見てはいるが、こう指摘する。

「IT業界全体からアプリ市場を見ると、現在は“凪”の状態。こぞって開発していたのは6、7年前の話。関連会社も飽和し、勝ち組と負け組がはっきりしている。昔のようにすごく成長しているという印象はない」

 スマホ・携帯ジャーナリストの石川温氏は、鈍化した要因をこう分析する。

「利用されるアプリと、利用されないアプリの格差が広がってきています。当初は目新しさから、なんでもダウンロードする状況がありましたが、興味や関心は一回りしました。現在は各自が利用するアプリが定番化して、やたらと新規ダウンロードをしなくなりました」

 そんな激しい業界の勢力争いが続くなか、ユーザーにはアプリが生活の一部として着々と溶け込んでいる。App Annieの調べによると、15年に全世界のAndroidユーザーがアプリに費やした合計時間が、前年比で約63%増加したことが明らかになった。アプリの利用時間はますます増えるが、新規ダウンロードへの関心は薄くなる。これは成熟市場のひとつの特徴だと関係者は言う。

●次に来るのはVR

 こうした状況からアプリをめぐって新たな動きが始まっている。そのひとつが、知名度の高いIP(知的財産)を使ったゲームアプリの開発だ。7日発表の「スーパーマリオラン」はその典型。サンフランシスコの発表会を取材した石川氏が言う。

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