アプリの歴史は、NTTドコモの「iモード」から始まった。米アップルは、この日本の携帯ビジネスを研究し続け、世界展開につなげたといわれる。アプリはどこに向かうのか。
今や生活に欠かせないアイテムとなったアプリ。そのルーツは今から15年前の2001年、「iアプリ」にさかのぼる。NTTドコモによる世界初の、携帯電話からインターネットに接続できる「iモード」サービスのひとつとしてデビューした。
アプリのプログラムサイズは10KBで、テトリス(パズルゲーム)や天気予報、ニュースなどシンプルなものだったが、自分の欲しい機能を自由にインストールできるサービスは画期的だった。モバイル研究家でジャーナリストの木暮祐一氏が言う。
「ドコモの戦略が優れていたのは、オープンなプラットフォーム(OSなどのソフトウェアを動作させるための仕組み)にしたことです。誰でもアプリを提供できるため、多くの開発者が参加し、結果的にiアプリを盛り上げることに繋がりました」
その後も、携帯カメラの高性能化や液晶の大画面化など、携帯の進化と並行して、アプリのプログラムサイズも増えていった。かつてテレビゲームで遊んでいたゲームが携帯上で楽しめるようになるなど有用性が高まり、アプリとユーザーの接点がますます増えていくことになる。
●日本は米国に次ぐ2位
アプリ業界の大きな潮目となったのは08年。海外で話題だったiPhoneが国内で初めて発売され、翌年にはAndroidも続いた。これらは日本ではスマートフォン、通称スマホと呼ばれ、その普及とともに主流は携帯アプリからスマホアプリへと変わっていった。
アプリ市場データを提供するApp Annieの調べによると、現在のアプリ数は、iPhoneのApp Storeで210万個、Google Playで270万個が登録されている。全世界のアプリ年間総収益は509億ドル(16年予測)。このうち国別のランキングを見ると日本の収益はアメリカに次ぐ第2位に位置し、トップレベルの市場を誇っている(中国はApp Storeのみの集計)。最新の7月の売上高企業ランキングを見ると、「LINE」「ミクシィ」「バンダイナムコ」の日本企業3社がトップ10入りし、存在感を示している。今や日本は、アメリカ、韓国、台湾と並ぶ成熟市場となっているという。
●勝ち組と負け組に
そんななかApp Annieは、今後の収益増加の大部分は新興市場によって牽引されると予測している。同社のリージョナルディレクター・滝澤琢人氏は、こう指摘する。