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金2、銀2、銅3のメダルラッシュで五輪序盤の日本選手団を引っ張った競泳陣。ロンドン大会では「0」だった金メダルを2個獲得しただけではなく、史上最多の入賞21を記録。安定感を見せた。男女とも若手選手が多く、4年後の東京五輪では、さらなる躍進が望めそうだ。
男子のリーダーはやはり萩野公介(22)だろう。400メートル個人メドレーの金メダルでトビウオジャパンに勢いを与えた。800メートルリレーで銅、200メートル個人メドレーも銀と3個のメダルを獲得。ただ、複数種目を泳ぐ過程で徐々に疲れが見えた。自身が「肉体的、精神的な強さが足りない」と振り返ったように、エースとしてさらなるタフさを求められそうだ。
400メートル個人メドレー銅で萩野と共に60年ぶりの日本勢ダブル表彰台を果たした瀬戸大也(22)は初五輪。5位に終わった200メートルバタフライも含め、うまくピーキングできなかった。個人メドレー世界選手権2連覇中の実力者だけに、リベンジを誓う。
この2人に続くのは、200メートルバタフライで銀メダルを手にした坂井聖人(21)。残り50メートルを6位から追い上げ、優勝した怪物フェルプスに100分の4秒差。距離にすれば約6センチまで詰め寄った。同種目は4大会連続のメダル獲得。日本の「お家芸」として、20年にも期待がかかる。
「東京五輪の新星」と呼ぶにふさわしい泳ぎをみせたのが、渡辺一平(19)だろう。身長193センチ。日本人としては規格外の大型スイマーは、200メートル平泳ぎ準決勝でいきなり五輪新。全体1位で進んだ決勝では力みすぎて6位に沈んだが、初五輪で最高の経験を積んだ。
女子は高校生トリオの4年後にも注目したい。
まずは、大会8日間で7種目12レースと日本代表の誰よりもたくさん泳いだ池江璃花子(16)。得意の100メートルバタフライは、予選から決勝まで日本記録3連発で6位入賞。五輪本番でなかなか力を出せない中高生スイマーのなかで、ひとり気を吐いた。200メートルバタフライの長谷川涼香(16)は、準決勝で全体9位。リオ1カ月前に自己ベストを更新した好調の波を大一番につなげられなかった。今後はピーキングを研究しつつ、地力をつけたい。200メートル個人メドレーの今井月(るな、16)は、準決勝で全体の15位に終わった。
この3人は、ここから体が変化する時期を迎える。高校卒業後の練習環境をどう考えるか、体格に合わせた泳ぎや調整方法をいかに完成させるか。それらが成長の鍵になりそうだ。
選手層の厚みを増すことも重要だ。男子400メートルメドレーリレーでは、米、豪ら強豪国が予選と決勝で選手を入れ替える中、日本は同じメンバー。泳ぎの技術やトレーニング法は世界トップクラスなのだから、「層の厚み」「心身のタフさ」を進化させたい。
もう一つ気になるのは、前年の世界選手権優勝で早々と五輪代表に内定した3選手が、いずれも金メダルをとれなかったこと。代表選手の選考方法にも、検討が必要かもしれない。(ライター・島沢優子)
※AERA 2016年8月29日号
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