B:でも正直、お役所の営業に比べたら、病院なんて楽なものだと思いますよ。私が以前勤めていた葬儀社は、生活保護受給者の葬儀が9割を占めていたんです。そのような方たちが亡くなった場合は、自治体から20万6千円の葬祭扶助が出るから、契約上は遺族の依頼を受けて葬儀を行うにしても、事実上、役所から受注することが多いんです。ただ文字通りお役所仕事だから、営業に行っても新規の業者は入り込めない。かといって、顔を出し続けないと仕事がもらえない。当時は、ある役所の依頼でご遺体を引き取りにいったら、遺体をのせた寝台車であちこち役所に顔を出すということを繰り返していました。そうやって3年間顔を出し続けて、1件しか仕事をくれなかった役所もあります……。

C:まさか、役所の駐車場に遺体がのった寝台車が止まっているとは誰も思っていなかったでしょうね(笑)。

A:似たような話で、遺体を預かる民間の安置の専門会社が、トラックに遺体を安置していて騒ぎになったことがありましたね。都内ですと、斎場を持たず、マンションの一室で葬祭業を行っている小さな会社も少なくない。そういう会社は公営の斎場や火葬場を利用して葬儀を行うのですが、安置所がいっぱいだと、民間の専門会社を利用せざるを得ない。けど、その専門会社もマンションの一室でやったりしているので、トラブルも起こるんですよね。

●葬儀を斡旋する坊さん

A:葬儀業界にはまだまだ悪いヤツがいっぱいいますよ。私は、初対面のお寺のお坊さんから、「金持ちの檀家を紹介するからキックバックしてくれ」と、接待されたこともあります。待ち合わせは帝国ホテルのバーで、なぜか銀座のクラブ嬢らしき女性も一緒でした(笑)。そこで一杯飲んだ後、銀座のてんぷら屋で食事して、クラブに行くというフルコース。銀座では、道行く人が「先生、先生」と頭を下げるんで、ビックリしました。不愉快な態度を取られたので、付き合いはそれっきりですけど。

C:町内会長が亡くなった町内会員に対して、特定の葬儀社を紹介して、キックバックをもらうという話もあります。その癒着ぶりを目の当たりにした町内会の関係者が「会長に知られないように葬儀をやってほしい」とウチに駆け込んできたこともある(笑)。

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